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魔界はーれむ。【R-18】

第3章 白い皇子


「あ、蜘蛛」

私は彼のフードを指さして、そう一言だけ呟いた。すると、彼はフードをバサッと取って慌て出す。

「く、蜘蛛っ!?やだやだやだやだ!」

予想以上の慌てっぷりに私は呆気に取られた。ここまでくると、単純というか素直というか…………。

「あ…………」

途中で、彼も罠だと気づいたようだ。どんどん顔が青ざめていく。でも、私はそんなことよりも彼の美しさに目を奪われていた。

端正な顔もそうだが、なんと言ってもその肌の色と髪。雪のように白い肌に、それに負けないくらいの白い髪。一本一本が輝いて見える。そんな彼はまさに………

「ラ・ルイーゼ…………」

「え…………?」

そう。
今日の昼間に見たラ・ルイーゼそのものだった。闇と決して混じらない白さ。彼の目もまた美しい。廊下にある僅かな光の当たり具合によって、金色に光っているように見える。

「み、みみみ、見ないでっ!!」

彼はフードをもう一度乱雑にかぶり直す。こんなにも綺麗なものを隠してしまうなんてもったいない。

「どうして隠してしまうの?」

あまりにももったいなかった為に、つい尋ねてしまう。誰もが羨むような白い肌を持ち、とても綺麗な髪を持っている。それをなぜそんなにも隠してしまうのかが私には分からなかった。

「し、白いからっ!」

と叫ぶように言って、彼が走り去っていった。


え………待ってよ………。
一人になっちゃうじゃん………!

突然現れた天使のような彼は、残酷にも私を放ってどこかへ行ってしまった。

「ラ・ルイーゼ………」

闇の中、白く輝く様子はまさにそれだった。その光景はいつまで経っても頭から消えない。

「あ………名前、聞いてない」
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