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魔界はーれむ。【R-18】

第3章 白い皇子


私は今まで、夜に目が覚めたことがなかった。なのに、今!目を覚ましてしまった。

夜中に目を覚ます、なんて別におかしなことではない。むしろ、今まで目が覚めたことがなかった方がおかし……………くはないけど、そうなのかもしれない。まあつまりは、私がこんなにも驚いて不安に陥ることなんてないのだ。でも、私は今、すごく恐怖の淵に追いやられている。なぜか?そんなの、決まってる。

今日の幽霊事件があったんだよ?
私は今まで、幽霊なんて全然平気だった。私の中で、もうそれは日常に映る景色として認識されていたから。でも、魔界の幽霊っていよいよ本気でやばそうな雰囲気があるじゃない?いや、あるの!

もう、今の私に冷静な判断なんかできる余裕ない。私はベッドから降りて、人を求めて部屋を出た。

でも、廊下は更に怖さを増していた。肌寒い感じが余計にそれっぽい。

「誰かぁ………」

と、らしくもなく蚊の鳴くようなか細い声で人を呼ぶが、こんな声に気づいてくれる人なんているわけがない。

と、思っていた。

「あ、あああああああ、あのっ………」

「ふぁあああっ!?」

あまりにも長い、あ、の連呼に私はみっともない悲鳴を上げた。ここまで挙動不審にされると、怖い。

「ひぃいいっ!」

そして、なぜか声を掛けてきた人が悲鳴を上げる。

「だ、誰かって、ひ、人を呼んでいた、からっ」

「あ…………それで、助けに?」

フードを目深まで被った(声から察するに)少年がこくこくと大きく頷く。脳震盪起こしちゃうんじゃないの、ってくらい。

「ありがとう。でも、あなたが来てくれたからもう大丈夫」

お礼を言いながらも、私の意識は彼のフードの下へといっていた。俯きすぎて顔が見えない。

「ねえ、顔を見せて」

「だ、だだ、だめっ、です!」

それでも私は粘った。
無言で彼を見つめ続けた。それでも彼はなかなか顔を見せてくれない。

でも、私にだって考えがある。
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