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魔界はーれむ。【R-18】

第3章 白い皇子


そんな花の中、何か黒い影が見えた。人の形のようにも見える。まさか…………

「み、みみみ、ミアーシェ!?」

「はい、なんでしょうか?」

動揺しまくりの私とは打って変わって、ミアーシェは随分と落ち着いた様子で花を堪能している。

「あ、ああああああ、あそこっ!!ユーレイ!!!」

「幽霊………?いないじゃないですか」

何言ってんだ、って感じの目で見られる。視力2.0だよ!?自慢だけど!

「ほら!あそこっ!…………って、あれ?」

私が再び指を指した時には、もうその姿はどこにもなかった。

「王女様………。すみません、疲れていらっしゃるというのに連れ回したりなんかしてしまって………」

え?

「いやいやいやいやっ!私は元気だから!すっごく元気!」

腕を曲げて、力こぶ(幻覚)を見せるも、ミアーシェは信じてくれない。それ所か、余計に過保護になる。

「王女様、そろそろお部屋に戻りましょうか。夕食までまだ時間がございます。その間に、ゆっくりとおやすみなさいませ」

違うってばぁあああああっ!

+-+-+-+-+-+-+

「幽霊、か…………。くくくっ」

夕食でルシファムにも訴えてみるも、やはり分かってはくれなかった。むしろ笑われた。

「お前、人間界では嫌というほど見てきただろう?それに、俺は悪魔だ。悪魔だって似たようなものだろう?」

なんか、親に諭される子供、みたいな感じの構図が出来上がる。

「うん………まあ、そうだけど………」

確かに言われてみればおかしな話だ。
魔界という、二次元かよ、的な世界に飛ばされた挙句、私は淫魔で悪魔の血が通っている、と言われ、もてなされているのだ。今更幽霊を怖がるっていうのも、おかしいことなのかもしれない。

「今日はもう、ゆっくり休め」
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