第2章 初めて
ルシファムが私の身につけていたネグリジェを脱がす。何の抵抗も出来ない私はただただその行動を見ていることしか出来なかった。
「や、めて………っ」
下着を身につけただけの格好にされ、羞恥が私を襲った。ただでさえ恥ずかしいのに、ルシファムは私の体をじっくりと眺めた。
「安心しろ。………綺麗だ」
「ひぁっ!」
ルシファムが私の下部に手を触れる。ただそれだけのことなのに、体が過剰に反応してしまう。
「やっぱりそうか………」
私は、やっぱりって?と目で聞く。荒い息が漏れでるせいで、上手く言葉が喋れないのだ。
「お前は人間界で生まれた。これは事実だ。だが、お前の母親は悪魔だ。魔界の者が人間界の者と恋に落ちたのだ」
突如語り出した内容は、私の理解できる範囲を容易に超えていた。どういう意味か、と首を傾げる私をよそに、ルシファムは話を続ける。
「お前の母親はこの国の王女であった。ミーネ、という綺麗な女性だった。そして、ミーネの兄はこの魔界の王だった。平民育ちだが、黒い目と髪を備えたミーネの兄は王として迎えられた。そして当然のようにミーネには決められた相手がいた。魔界の王女ともなれば当然だ。だが、ミーネはその相手を嫌がった。そして、魔界を出たんだ」
私の母は魔界の王女で、しかも私のおじにあたる人が魔王。ついでに言うと、母は魔界を出た………と。理解しがたい話だが、魔界があるくらいだ。信じざるを得ない。
いつしか私の中にあったむずがゆさは消え失せ、意識もはっきりとしてきた。
「力を使い、人間と触れ合い、そしていつしか恋に落ちた。その相手がお前の父親だ。魔界では、人間界の者と恋に落ちるなど、許されないことだった。だがお前の母親はその禁忌を犯し、お前を生んだ。そして、力を使いすぎたお前の母親はお前を生むのと同時に息絶えた。お前の父親も、それから程なくして亡くなった。死因は事故死だ」
「ねえ………。どうして私はここに連れてこられたの?母も父も亡くなっているのなら、私と魔界は関係ないじゃない?そもそも、私の母が禁忌を犯したというのに、どうして私は追い返されるどころか、歓迎されているの?」
私は思ったことを全て口にした。
私は真実が知りたいのだ。私がどうして、こんな人生を歩んでこなければならなかったのか。私にはそれを知る権利がある。