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魔界はーれむ。【R-18】

第2章 初めて


無事に今日も一日が終わる。

私は今そう信じていた。

今この瞬間までは。

「あうっ………うっ、はあっはあっ………!」

お風呂から上がり、ミアーシェと人間界でいう紅茶を楽しんでいると、急に体が熱くなってきた。決して、のぼせた訳でも、お茶が熱すぎる訳でもない。体の奥………ずっとずっと奥の方から熱が溢れてくるのだ。

「王女様っ!?」

持っていたカップを床に落としてしまう。高そうなカップを割ってしまった。でも、そんなことを気にしている余裕などない。

「熱い………体が、熱い………」

頭がくらくらする。気持ちもどこかふわふわと宙に浮いたような感じがする。

「王女様っ………」

ミアーシェがなぜか悔しそうに、苦しそうに顔を歪めた。どうしたのか、と聞きたいけれど、口からは荒い息が漏れるだけだった。

「ミ、ア………シェっ………」

そしてミアーシェは何かを決心したかのように私を見つめた。

「応援、しております」

と、どこか寂しそうな笑みを浮かべて。

「はぁっ………ミア、シェ……?」

ミアーシェは床に手をつく私を抱き上げた。抵抗する力さえもない私はされるがままに身をゆだねた。

**********

連れていかれたのは、私の部屋から随分と離れた場所にある部屋の前。ミアーシェが扉を軽くノックする。

「ミアーシェです」

意識が朦朧とする中、私は必死に自我を保った。

「入れ」

部屋の中から聞こえてきた声はよく知っている人のものだった。

「失礼いたします」

部屋の主………ルシファムがミアーシェに抱えられた私を見て、目を見開いた。

「どうした?」

ルシファムの視線が私に注がれる。私は震える声を振り絞った。

「体、が………熱いっ………はぁっ」

その一言で、ルシファムは何かを察したようだった。納得した様に頷き、ミアーシェと目でやり取りをする。そしてミアーシェが私をそっとルシファムの部屋にあるベッドに運んだ。そのふかふかとした感触に私は目を閉じた。

「ミアーシェ、悪いな」

「いえ、私の仕事ですので」

それだけ言い残し、ミアーシェが部屋を出ていく。

「さやか、今楽にしてやるからな」
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