第1章 魔界
【魔界について】
魔界。
それは、人間界とは全く異なりながらも、どこかその面影を感じさせる、表裏一体な存在なのだ。ただ、人間界と魔界との行き来は難しく、また、人間界には魔界の存在を知っている者がほとんどの確率で0らしい。
魔界には様々な部族が住んでいる。全ての例を上げればきりがないが、魔界の住人のほとんどは『ドラゴン一族』が占めている。ドラゴン一族にも様々な種がある。
城に仕えるミアーシェも、そのドラゴン一族の民だ。彼は、水を司るドラゴン。見た目は人間とそう変わらないが、特徴的なのはその美しい碧眼と輝く金髪。この特徴は水を司るドラゴン一族のみだ。
炎を司るドラゴン一族の民は、燃えるような赫眼と明るい茶髪。
そして、ドラゴン一族にはとある共通の特徴がある。それは、角だ。
他の民族に比べて、鋭く尖った黒い角は、固くて、折れることがない。万が一にも、その角が取れてしまった場合は、死に至る。
だが、ドラゴン一族といえど、ベースは悪魔だ。ドラゴンの血を濃く受け継ぐ者もいれば、悪魔の血を濃く受け継ぐ者もいる。また、その半分ずつを受け継ぐ者もいる。ドラゴンの血を濃く受け継ぐ者ほど、能力は高く、希少だ。
そしてごく稀に、ほぼ100%ドラゴンの血を受け継ぐ者がいる。それは、各種ごとにひとりとされている。
そして、水を司るドラゴン一族のその純血ドラゴンは、ミアーシェなのだ。
純血ドラゴンには、それぞれ特色があるらしい。まだ、ミアーシェしか見つかってはいないが、ミアーシェの場合は、『読む力』に特化している。彼は、人の心を読むことが出来るのだ。
魔界の住人は、皆、人のまとうオーラを感じ取ることが出来る。また、オーラを消すことも可能である。
だが、ミアーシェにはそれが効かない。どれだけ、オーラを消そうが、彼の能力にはなんの影響もないのだ。
そして、魔王であるルシファム。
彼は魔界で唯一の黒髪に黒い瞳を持つ者。闇を指す、彼のような黒髪に黒い瞳を持つ者は、血筋に関係なく、魔王として迎え入れられるのだ。
そして、この魔界の住人となった貴女も、その例外ではないということを忘れないように。