第1章 魔界
「王女様、おはようございます」
「あれ?まだ夢から覚めてない?あー………早く目覚めろ私ー」
起きるとそこには、金髪碧眼美少年が待機していた。まだ夢の中か………。
「王女様、これが現実です。さあ、朝食のお時間になってしまいます。朝食用のドレスをご用意いたしましたので、そちらを」
「ですよねー」
やっぱり、夢じゃないよね……。
私はその、用意された朝食用ドレスを身につけた。昨日着ていたドレスとは違い、今度は純白だ。まあ確かに、朝から黒はね……。
ん?
『朝食用ドレス』………?
1日お着替えは3回、的な?
「いえ、5回です」
ま、また!?
最近、お口が緩みすぎなのかな……。
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「さやか、おはよう。やはり、白もいいな」
「そりゃ、どうも」
待ち構えていたのは、『魔王』である、ルシファム。
「まあ、座れ。朝食を運ばせよう」
ルシファムが指をぱちん、と鳴らすと、たくさんの料理が運ばれてきた。様々なジャンルの料理が並べられ、どれから食べればいいのか分からない。
とりあえず、目の前に置かれた、透明で、ゼリーみたいにぷるぷるのものを指でつつく。中には、ピンクの花が見える。
「これ………ゼリー?」
「ああ、人間界にもあるだろう?基本、魔界と人間界にある習慣などは似ているんだ。俺にもよく分からんが…………おそらく、この魔界と人間界は表裏一体の存在。まあ、文化は違うがな」
詳しい話はあとでな、とご飯にとりかかる。彼の話を理解出来なかった私は、ただただゼリーをつんつんし続けた。
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「ではまず聞こう。お前は何が知りたい?」
「じゃっ、じゃあ!」
と勢いよく声を上げるも、何から質問したらいいのか迷ってしまう。改めて聞かれると、何を知りたいのかさえも分からなくなってしまう。
「………やっぱり、あんたが話して」
ルシファムが、長くなるぞ、と怪しく微笑んで見せた。その笑みに少し、背筋が伸びる。
「ではまず、この魔界についてだ────」