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十四郎の恋愛白書 1

第15章 No.15


ゆきは溢れる涙をそのままに、オレの掌に自分の頬を擦り寄せるように充てた。

柔らかいその頬に、思わず笑みが漏れた。

「ゆき…、愛、してる…」

想いが溢れ出て止まらない。
ゆきは涙に濡れる瞳を見開いた。
そしてやがて目を細めて、コクリ、と頷いた。
胸の奥から愛しさが込み上げる。

そこに再び暗闇に引き込まれそうになり、ゆきの姿が霞んだ。

「ゆき…、行くな…、ゆき…、傍に…、」

必死に抗うが、身体の力は抜けて行く。
しかし霞んで行くゆきが優しく微笑んだのを見て、オレはホッと安堵の息を吐き、暗闇に身を任せた。

「大丈夫。ずっと、傍にいます」

ゆきがそう、言ってくれたような気がした。


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