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十四郎の恋愛白書 1

第15章 No.15


ゆきに会えないまま一カ月が経とうとしていた。

マスコミは漸くオレの話題に飽きたようで、屯所付近に姿を見せなくなった。しかし、代わりにオレの『ファン』と称するヤツらがウロつき始めたのだ。お陰でまだオレは屯所内に缶詰めだ。


「あ〜あ、マスコミの次はファンですかぃ。さすが真選組一のモテ男ですねぃ」

焼き芋の皮を剥きながら総悟が揶揄ってきた。

「うるせー。誰のせいだ誰の。それから焼き芋は自分の部屋で食え」

本庁への提出書類を書きながら総悟を嗜めるがどこ吹く風だ。ハフハフと焼き芋を齧りながら「いいじゃねぇですかぃ。焼き芋は畳に落ちると、畳の目に入り込んで取れにくいんでさぁ」と立ち退くそぶりは無い。

「それにしても、土方さん。ファンの殆どが男っていうのは流石ですねぃ」

モグモグ頬を膨らませながら食べる総悟は小動物を想わせる。

「それ以上言ったら、おまえ切腹な」

オレは筆を休めずに答えた。
しかし総悟はめげずに声をかけてくる。

「このプレゼントの山はどうするんですかぃ?」

漸く筆を置き、総悟の指し示す物に視線を向ける。部屋の窓際に大小様々なプレゼントボックスが積み上げられていた。ここ数日で届いたものだ。

「明日ゴミの日だろ。テツに全部処分するように言ってある」
「捨てるんですかぃ?もったいねぇ」

総悟がプレゼントの1つを手に取りながら、さして勿体無くもなさそうに言う。

一番初め、オレのファンと称するヤツからプレゼントが届いた時は驚いた。
屯所に届く郵便物は全て機械でチェックされるので、それを通過して自分の元に来たということは、爆弾や刃物ではないはずだ。
つい何が入っているか興味を引かれ、シュルリと赤いリボンを解いて蓋を開けた。

赤い首輪と黒いバイブが入っていた。

バン!と蓋を閉め、速攻屯所内の焼却炉に投入。

1個目のプレゼントがそんな状況だった為その後一気にプレゼントに対する興味は失せ、ファンから送られてきたものは全て有無を言わせず処分行きだ。


総悟が後ろでゴソゴソとプレゼントを開封する音が聞こえるが、無視して仕事を続ける。
仕上がった書類を封筒に入れるために文机の引き出しを開けた。
そこには白や茶色の封筒が乱雑に入っていたが、1つ、ピンク色の封筒だけは他とは分けられキチンと鎮座していた。

その封筒を見て頬を緩ませる。
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