第14章 No.14
しかし総悟とて伊達に真選組一の使い手とて称されているわけではない。無理な体勢からオレの一太刀を見事に受け止めた。
ギィン!と金属のぶつかり合う音。
そしてギリギリと刀を交えながら言葉を交わす。
「テメェ、何てことしてくれやがった!切腹の覚悟は出来てるんだろうな‼︎ 」
「いいじゃねぇですかぃ、写真くらい。別に減るもんじゃなし」
総悟は悪びれる様子もなくオレの刀を弾く。しかしまたギィン!と交差する二本の刀。
「減るわ!オレの中の何かが確実に減った‼︎ だいたい、この写真全部ゆきじゃねーか‼︎」
「仕方ねーでさぁ。土方さんを盗撮してもシャッター音ですぐに気付かれるし。その点ゆきさんなら鈍いから全く気付かれなくて、盗撮し放題でした」
再び弾かれた二本の刀は勢いを付けてまた交わる。お互い殺気は最高潮だ。
「アホか‼︎ 盗撮は犯罪だ!おまえ警察だろーが! それに何だ、真ん中ら辺の写真!全裸じゃねーか‼︎ なんつー写真を載せてくれてんだ‼︎ おまえ、ゆきの入浴を覗いてたのか‼︎」
「ゆきさんの入浴を覗いてたんじゃありやせん。土方さんの裸の写真を撮ってたんでさぁ。それに、ちゃんと大事な所は湯気で隠れるように加工してありやすから安心してくだせぇ」
「ちっとも安心できねーよ‼︎」
刀をギリギリと攻防させながら右脚で総悟を蹴り上げる。スレスレで避けた総悟はそのまま回転しながらしゃがみ込み、オレに足払いをかけた。そしてオレが倒れた所へ顔面目掛けて刀を突き立ててくる。オレはそれを体を転がせて寸でで避け、腕の力だけで飛び起きると、その勢いのまま総悟の横面に思い切り回し蹴りをくらわせた。
「ぐっ!」
ドガシャーン!
総悟は襖を見事に吹き飛ばし、隣室までぶっ飛んだ。そこへすかさず間合いを詰めて正面から斬りかかる。ギィン!と火花を飛ばしながら総悟は刀を受け止めた。そしてオレの腹を蹴り上げる。
「ぐぁ!」
ガシャーン!
オレは障子戸を突き破り廊下に転がり出た。追いかけて総悟が斬りかかってくるのを直ぐに体勢を整えて受け止め、弾き返して斬り返す。
突如始まった、副長と一番隊隊長の死闘に、屯所内は騒然とした。
しかしオレたち二人の殺気に当てられ、隊士達は止めに入ることすら出来ず、ただハラハラと見守るしかなかった。