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十四郎の恋愛白書 1

第13章 No.13


必死に言うが、ゆきはたいして気に止めていないようだ。

「大丈夫ですよ。総悟くんが色々気を配ってくれてますから」

ゆきの一言に驚く。

「は⁉︎ 総悟が?」
「はい。私が困ってたら、いつもどこらからか現れて助けてくれるんです。私に告白してきた隊士さんたちにもフォローしてくれてるみたいで」

フォロー⁉︎ いやいや、絶対脅してるだろ!

総悟がゆきの廻りをチョロチョロしてるのは知ってたが、そんなところでポイント稼ぎをしていたとは。
ゆきに引っ付いているのは気に食わないが、総悟が付いているならゆきは大丈夫だろう。

オレと総悟が仲良く歩いてるみたいに見えて寒気がするが、オレの貞操を守ってくれるならひとまずヨシとしよう。







3週間が経った。


今朝、ゆきにオレの身の回りの介助をやめると言い渡された。

「トシさんも私に全て任せてくださってるわけですし、私もトシさんを信用してお任せすることにします」

そう言ってゆきは下着や着替えが入った衣装ケースをオレに差し出した。

“信用”。その言葉がオレのなけなしの良心をチクチク攻撃する。

ごめんなさい、実は隠れて色んなところ触ってました、なんて言えない。

「お、おう、任せとけ。心配すんな」

冷や汗モノでそう答えると、ゆきは「よろしくお願いしますね」とニコリと笑って仕事に戻って行った。



これで、隠れてコソコソしなくても、ゆきのあんなところやこんなところも見放題、触り放題だ。万事屋に総悟め、羨ましいだろ、ザマァみろ。

いやいや、ゆきはオレのことを信頼して任せてくれたんだ。その気持ちにこれ以上背くわけにはいかねぇ。今までコッソリ触ってたけど、今後はゆきの信用に誠心誠意応えるべきだ。

……心の中で、悪魔と天使が喧嘩する。

オレは風呂場の脱衣場で正座し、かれこれ1時間脳内会議をしていた。そろそろ足が痺れてきている。

ダメだダメだと思いつつも、体は勝手に風呂場に来ていた。脱衣場で着物に手を掛けた時、僅かに残る良心がオレの手を止めたのだ。

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