第11章 No.11
「どうするもこうするも、源外が帰って来るまでこのままでいるしかねぇだろ」
つい袂の中のタバコを探ってしまうが、入っているはずもなく舌打ちする。
万事屋は「ゆきの顔で、んな悪そうな顔するなよ」と眉間に皺を寄せた。
そして何かを思い出したようにハッとオレを見る。
「オイ、風呂とかトイレはどうすんだ⁉︎ まさか自分でする、とかないよな⁉︎」
詰め寄った万事屋にワザとニヤリと笑ってやる。
「さぁな。1か月もこのままの姿だし、自分でするんじゃねぇの?」
「なんだとぉ‼︎ 」
万事屋はガタン、と椅子を倒して立ち上がった。
「じゃあおまえ、ゆきの柔肌を触りまくりってことか‼︎ ゆきのあんなところやこんなところも、見まくれるし、触りまくれるし、ヤリまくれるってことか‼︎」
動揺しまくる万事屋に、オレはフフンと勝ち誇って答えてやる。
「まぁそういう事だな」
いや、やらねーけど。多分。
「テメェ!ズルいぞ‼︎ オレと交代しろ!いや、オレにも触らせろ‼︎」
突然万事屋がオレの胸をグワシッと鷲掴みにしてきた。
「ぎゃ!テメ、何しやがる!」
「おお!ゆき結構ムネでけぇ!」
「触んな!オレですら触ったことねーのに!」
「オメーはこれから毎日触れるだろ!」
「テメェに触らせたくねーんだよ! うわ!」
2人揉み合って椅子から転げ落ちる。咄嗟に万事屋がオレの身体を支えたので怪我はなかったが、万事屋に押しかかられる体勢になってしまった。
「ちょ、近ぇ!」
至近距離の万事屋を突き飛ばすが、その拍子に尻餅を付き、ゆきの着物の裾が大きく開いた。
万事屋によって開かれた胸元からは白い谷間が覗き、捲れている着物の裾からは柔らかそうな太ももが現れていた。
オレと万事屋はゴクリ、と喉を鳴らす。
「…ひ、土方くん、あの、相談なんだけど、ちょっと2人で協力して、この着物の下がどうなってるか、大冒険しちゃったりなんか、しない?」
万事屋の目はゆきの白い太ももに釘付けだ。
「バ、バカ言うな…、オレは警察だぞ…」
そう言いながらも心は大いに揺れていた。
「でも、今はオメーの体だろ?本人同意の上で見るなら犯罪にはならねーよな? ゆきも今は二階でおばちゃんの世話してるし、少しくらいなら…」