• テキストサイズ

十四郎の恋愛白書 1

第10章 No.10


「山崎さん、とおっしゃいましたか?私は井上ゆきと申します。こんな時間に呼び立てしていまい、申し訳ありません」

しかし山崎は「ひぃ!」と言って数歩後ずさる。

「ふ、副長がオレに頭を下げるなんて! せ、世界の終わりだ‼︎」
「あぁ⁉︎」

オレはジャンプして山崎の頭をスパンと叩いた。

「トシさん!」

ゆきが嗜めるが、ぷいと横を向いてやった。

「山崎さん、ごめんなさい!大丈夫ですか?」

ゆきはまた山崎に駆け寄るが、山崎もまた後ずさる。
「ひぃ!副長がオレの心配をするなんてぇ!」とか言ってやがる。
このままでは埒があかない。

「山崎。とりあえず屯所に帰るぞ。そして朝になったら万事屋に行く」

オレが山崎の尻をゲシゲシ蹴りながら言うと、ゆきが目を丸くした。

「万事屋?銀さんのところですか?」

山崎が後ろで「副長が『銀さん』って言ったぁ!」とか騒いでるが無視だ。

「あぁ。以前、オレと万事屋も中身が入れ替わったことがある。その時も交通事故が原因だった」
「ええ⁉︎ そ、そうなんですか⁉︎ それで、その時はどうやって元に戻ったんですか⁉︎」
「源外とかいう発明家のじいさんの機械で元に戻った。だからまたそのじいさんのとこに行く」

元に戻れる手段があると聞きゆきの顔が輝く。

「そのじいさんの場所は万事屋が知ってる。だからゆき、朝になったら万事屋のとこに行くぞ」
「はい!」

嬉しそうに返事をするゆきの横で、山崎が「あぁぁぁ!副長が笑ってるー!」と地面をのたうち回っている。
オレは山崎の頭を踏み付けてグリグリしてから、パトカーに乗り込んだ。





「っ何してやがるんでさぁーー‼︎」

ドーン‼︎

部屋の障子戸が弾け飛び、布団がひっくり返されて身体が投げ出された。

「あだっ!」
「ふぎゃ!」

畳に顔面からぶつけて、目の前に星が飛ぶ。

「な、何事だ⁉︎」

寝ぼけ眼で刀を手繰り寄せながら見ると、総悟がオレに馬乗りになり、胸倉を掴み上げていた。

「てめー、土方コノヤロー!ゆきさんを連れ込むたぁ、一体どういうつもりだ‼︎」

拳を振り上げる総悟。
いや、待て、あれはオレじゃない。ゆきだ!

「待て!総悟!それはゆきだ!」
/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp