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十四郎の恋愛白書 1

第6章 No.6


昨日、ゆきに告白した。

人生で初めての告白だ。
今まで女から告白されることはあっても、自分からすることなんてなかった。
ミツバにすら想いを伝えなかった。

ミツバの時は自分に余裕がなかった。あの頃のオレには近藤さんとの剣の道が何もよりも最優先で、ミツバを幸せになんて絶対にできないと思っていた。

でも、今は違う。
真選組という組織は確立し、近藤さんと共に歩む隊士も増えた。
そして何よりもオレ自身、副長という立場になり数年、自分に自信が付いた。
今のオレなら惚れた女を護っていけると思ったんだ。

…ゆきはオレの告白をどう思ったのだろうか?
自惚れている訳ではないが、自分でも容姿はいい方だと思う。
稼ぎだってそこそこあるし、公務員だから将来安定だ。
所謂『優良物件』のハズだ。
性格は…
…うん、多分惚れた女には優しいハズだ。

ゆきはいい返事をくれるだろうか…。

昨夜からオレの頭はゆきでいっぱいだった。
一向に進まない書類仕事。
オレは筆を置くと、うーんと伸びをしてそのまま畳に寝転がった。


あれ?待てよ?
よく考えたら、オレって今まで誰とも付き合ったことなくね?

はたと気付く。

真選組第一という信念と過去のミツバへの想いから、オレは特定の女を作ることはしなかった。
性欲処理には後腐れのない遊郭の女で十分だったし。

てことは、えっ⁉︎ まさかこの年になって、彼女いない歴=年齢ってヤツ⁉︎

今まで考えたこともなかった予想外の事実に、しばしショックを受け思考停止した。

…い、いや、百歩譲ってそれはいいとして、もしゆきからokの返事をもらって付き合えることになったら…。

付き合うって一体何すればいいんだ⁉︎

オレは普通の恋愛をしたことがない⁉︎

「…まじか」

ポツリと呟く。

「…こんなこと誰に聞けばいいんだよ」
「何を誰に聞けばいいんでさァ?」

突然の合いの手に閉じていた目を慌てて開きそちらを見遣ると、総悟が障子戸を開けてバズーカを構えていた。

「おまっ、ちょ、待て‼︎」
「くらえ、土方コノヤロー」

飛び起きるが、総悟の方が一瞬早かった。

ドウン‼︎

オレは見事に吹っ飛ぶ。
部屋の中を粉塵と共に、ヒラヒラと白い書類達が舞い散った。


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