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十四郎の恋愛白書 1

第5章 No.5


「はい。お店の常連さんで大変良くしていただいてますが、お付き合いなどはしていません」

なんと‼︎まさかの勘違い⁉︎
でも、じゃああの時見たアレは一体…?

テンパるオレにゆきは、「坂田さんとお知り合いなんですか?」なんてのんびりと聞いてくる。

オレはくるりとゆきに向きを変えると、ガシッとその両肩を掴んだ。華奢なそれに護ってあげたい感が溢れてくるが、今はそれどころじゃない。

「1週間前にお前と万事屋の野郎が歩いてるのを見たんだ。その…手を、繋いでた」

キスしてたのも見た。言えないけど。

しかしゆきはあっけらかんと
「あ、それですか。やだなぁ。見てたんですね」
なんて笑った。

イヤイヤ!どういうことだよ⁉︎

「実は私、その時タチの悪いストーカー被害に遭ってたんです」

な、なんだとぉ〜‼︎

「それで警察に相談したんですけど、証拠がないと動けないと言われて…」

誰だそいつは!職務怠慢か‼︎切腹させてやらぁ‼︎

「トシさんに相談しようと思ってたんですけど、トシさんしばらくお店に来られなかったので…」

うっ‼︎ 入院してた時だな…。

「真選組は対テロ組織だからそういった問題は管轄外だと思って、屯所まではお尋ねしなかったんです」

確かにその通りだ…。

「それで、女将さんが万事屋さんに相談するといいよ、と助言してくださって、万事屋さんに依頼して坂田さんに恋人の振りをしてもらってたんですよ」

うぅ!なんでオレはあの時入院なんてしてたんだ‼︎

「お陰様で、坂田さんがストーカーを見事に現行犯で捕まえてくださったんです」

あの時入院なんてしてなかったら、オレがその恋人役だったのに‼︎ オレのバカ‼︎

「坂田さんたらストーカーの人をボコボコにしちゃって! 危うく坂田さんが傷害罪で捕まるとこだったんですよ」

あんな野郎、永久にブタ箱にぶち込んでやらぁ!

「でもそのお陰で、ストーカーの人は今後一切、私に近づかないって泣いて誓ってました」

悔しさに打ち震えるオレに気付かず、ゆきはニコニコと話した。
オレはガクリとゆきから手を離すと、何はともあれ2人が付き合っていなかったという事実に安堵した。

「あ!でもあの時、キスしてたじゃねぇか!」
「 ‼︎ 」

あ、言っちまった。
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