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十四郎の恋愛白書 1

第22章 No.22


「このまま近藤さんと小梅と浩太の3人で遊園地に行くとしやす。すると、乗り物に乗る時に誰か1人溢れまさぁ。乗り物は大抵2人乗りですからねぃ。そこでオレが一緒に行くとその心配はなくなりやす。オレぁ3人の事を思って一緒に行ってやろうと思ってるんですぜ」

その恩着せがましい態度に呆れる。要するにテメェが行きてぇだけだろ。

「余計なお世話だ! テメェは人の心配してねぇで仕事しろ!仕事!」

怒鳴るオレに、小梅と浩太がすかさず総悟に加勢した。

「オレ、総悟兄ちゃんも一緒に行って欲しい!」
「私も、総悟兄ちゃんと一緒に行きたいです」

申し合わせたように言う2人に、近藤さんと顔を見合わせる。

「小梅、浩太、総悟くん、水筒忘れてるわよ」

そこへトタトタとゆきまで登場だ。弁当を作ったのもゆきなんだろう。

どうやら総悟の作戦勝ちらしい。
近藤さんが苦笑いしながら「仕方ない、総悟も一緒に行くか」との一言に、浩太が飛び上がって喜んだ。







そして夕方、浩太と小梅がオレの部屋に訪ねてきた。

誰の影響か、浩太はスパーンと勢いよく戸を開けてズカズカ入ってくる。

「こら浩太、人の部屋に入る時は一声かけろ」

オレのお小言なんて御構い無しの浩太は、オレの前にキーホルダーを差し出した。

「トシ、土産買ってきたぞ!」
「土産? オレにか?」

意外な言葉に、差し出されたそれを手に取る。
輪っかから続く細く短いチェーンの先には水色のプレートが付いていて、その中に、金色の文字で『トシくん』と可愛く書かれていた。

「 …… 」

どうコメントしたらいいんだ。

オレの沈黙をどう受け取ったのか、小梅と浩太ははしゃぎながら話す。

「これ、みんなお揃いなんです」
「オレのは緑色で『こうたくん』、小梅姉ちゃんのはピンク色で『こうめちゃん』、近藤さんはカッケーんだぜ!黒!黒に『いさおくん』って書いてんの!」
「総悟兄ちゃんはブルーで『そうくん』だよね。あと、お姉ちゃんは赤に『ゆきちゃん』なんだよ!」
「なぁ、トシ、嬉しい⁉︎ 嬉しい⁉︎」

興奮気味に話した2人は、キラキラした期待の目を向けてくる。

「あ、あぁ、嬉しい。あ、ありがとう。」


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