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十四郎の恋愛白書 1

第22章 No.22


長閑な田舎に突如現れた飛行船に村民達は一時期騒然として寺に集まってきたが、事の経緯を知ると皆一様に涙してゆき一家の無事を喜んでくれた。

そしてゆきの母親、雪絵さんの病状は思わしくなく、そのまま大江戸病院へ緊急入院させることになった。更に体力が著しく低下していたため、まず入院して体力回復を図りそれから手術することになったそうだ。
医療の知識に乏しいオレにはよく分からなかったが、天人がもたらした内蔵の病気らしく、手術すれば完治するとのこと。

「今回の事件のお詫びと言っては何ですが、入院費、手術費共に、真選組で負担させていただきます。十分に養生してください」

検査を終え、ベッドに横たわる雪絵さんに、近藤さんは告げた。

「それに、お子さん達の心配もいりません。お母さんがお元気になられるまで、3人とも責任を持って真選組で保護しますから」

「本当に、何から何までお世話になりまして…。ありがとうございます」

雪絵さんは深々と頭を下げた。

「なぁに、もともと大所帯ですから、子供が3人増えたくらいどうってことありませんよ。あ、ゆきちゃんは大人か」

そう言って近藤さんはガハハと豪快に笑う。
毎度のことながら、この人には頭が上がらない。

「すまねぇな、近藤さん。恩にきる」
「近藤さん、ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「ございます!」

オレに続き、ゆきと妹弟も頭を下げた。
近藤さんは浩太の頭をゴシゴシ撫でる。

「いやいや、ゆきちゃんはもう真選組の一員同然だからね。遠慮しなくていいんだよ。それにゆきちゃんの家族ならオレ達にとっても大事な家族だ」
「近藤さん…」

ゆきは瞳を潤ませた。

「ゆきちゃん、またトシのマヨネーズ作り、よろしくな!」
「はい!任せてください!」

穏やかに笑む近藤さんに、ゆきも最高の笑顔で答えたのだった。

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