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十四郎の恋愛白書 1

第21章 No.21


「⁉︎ なんだ?」
「こ、浩太?」

突然の奇行にオレとゆきはポカンとする。
しかし浩太はそんなオレたちにはお構い無しにオレの手を握ってきた。

「オレ、土方十四郎のファンなんだ! 握手してくれよ!」
「はぁ⁉︎」

なんだかよく分からないが、ギュウギュウ握手をされた。
騒ぐ浩太の声に、なんだなんだと万事屋と総悟も寄ってくる。
浩太はパッとオレの手を離すと、総悟に向かって駆け寄る。

「じゃあ、にいちゃんは沖田総悟⁉︎」
「なんでぇ、ガキ。呼び捨てにすんな」

総悟は睨むが、浩太はまた「やっぱり!」と大はしゃぎで、総悟の手をギュウギュウ握った。

「ちょっと浩太!いい加減にしなさい!失礼でしょう!」

ゆきが引き剥がすが、浩太の興奮は冷めない。

「姉ちゃんすげぇや!真選組と知り合いなんて!しかも、土方十四郎と恋人なんだろ⁉︎」

「だから、目上の人を呼び捨てにするんじゃありません!」

ゆきの怒声と共にゴンと拳骨が落とされた。
浩太は「いでで」とベソを掻きながら頭をさする。

そこへ妹が助け船を出した。

「仕方ないよ、お姉ちゃん。浩太は今、真選組チョコにハマってるんだから」

『真選組チョコ』⁉︎

オレと総悟が顔を見合わせた。

「そういえば、そんなのあったな…」
「まだ販売されてたとは、驚きでさぁ」

真選組チョコ。それは真選組ソーセージと共に、真選組のイメージアップを目指して開発された子供用の菓子だ。
幾つかの一口サイズのチョコが入った小袋には、それぞれ一枚のカードが入っている。それは隊士の写真付きトレカで、体力、知力、精神力などが数値化され、簡単な特徴や性格も表記されている。それでカードバトルして遊ぶのだ。

しかしソーセージとは違って、全く売れずに販売中止になったと思っていたが。まさかこんなローカルな場所で人気を博していたとは…。

浩太は懐から大事そうにカードを出すと、オレたちにジャーン!と見せた。

「コレがオレのベストパーティだ‼︎」

それは、

真選組副長 土方十四郎
一番隊隊長 沖田総悟
三番隊隊長 斎藤終
十番隊隊長 原田右之助
監察 山崎退


…… 近藤さんが入ってねぇ。

だが得意げに胸を張る浩太にツッコむこともできない。
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