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十四郎の恋愛白書 1

第20章 No.20


のんびりと話す老婆に、オレたちは掴みかからん勢いで聞いた。

「うひゃ!な、なんだい突然!」

老婆は驚いて腰を抜かしかけたが、すぐに指を指しながら答えてくれた。

「この道をずっと真っ直ぐに進むと、寺があるのさ。この村みんなの菩提寺なんだが。そこの離れに留まっていると聞いたよ。多分ゆきちゃんや妹弟もいるんじゃないかねぇ」

「ばあさん、ありがとう!」

礼を言うと走り出す。心の中は焦りで一杯だ。
間に合ってくれ‼︎


しばらくして見えてきたのは、寂れた小さな寺院。門をくぐり境内に入る。見回すと古びた本堂の隣に平屋の建物が1軒、少し離れたところにもう1軒建っていた。
おそらく離れた平屋の方だろう。そちらから複数の人の気配がする。

「行くぞ」
「はいよ」
「はいでさぁ」

オレの声に二人が応え、境内の敷石を踏み出したその時、

「キャー‼︎」

女の叫び声だ!
ゆきか⁉︎

3人一斉に平屋に向かい走り出す。

総悟が斬り込み隊長の名に恥じない刀捌きで、入り口の引き戸を叩き切った。
そこにオレと万事屋が、戸を思い切り蹴破る。

ドガーン!
派手な音を立てて重厚な木製の戸は真っ二つに割れて吹き飛び、粉塵が舞い散った。

「なんだ⁉︎ 何事だ⁉︎」
「討ち入りか⁉︎」
「何者だ⁉︎」

舞い上がる埃の向こうで男達の声が騒ぐ。

粉塵に紛れて建物内に入りザッと目を走らせると、30畳程の広い板間の室内には、大勢の男達と縄で縛られた人質が数人いた。

そしてゆきを見付けた。

「ゆき‼︎」

ゆきは数人の男達に組み敷かれ、今まさに犯されようとしていた。

「トシさん⁉︎」

目を見開きオレを見るゆき。涙に濡れたその頬は赤黒く腫れていた。

「っ‼︎‼︎」

オレの中で何かが切れた。

一瞬で、ゆきにのしかかろうとしていた男を思い切り吹っ飛ばす。

ドカァ!!

「ぐはぁ!」

男は壁にめり込んで白目を剥いて気絶した。

「ひ、ひい!」
「た、助けてぇ!」

鬼神を背負うが如くのオレの殺気に、ゆきを押さえ付けていた野郎共が悲鳴をあげて逃げ出そうとする。

逃がすか‼︎
容赦なく片っ端から刀を打ち付け叩きのめす。周囲には瞬く間に男達の形骸が出来上がった。

「ゆき‼︎」
「トシさん‼︎」

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