第20章 No.20
万事屋が「話聞いてたならオレがいるって知ってたよね⁉︎」とか騒いでるが、総悟はまるっと無視だ。
「大きな荷物を持って、駅から列車に乗って行ったそうです」
「 ‼︎ 」
オレはバッと文机の上の携帯を取る。
万事屋と総悟の話から、ゆきの行き先は多分…!
「もしもし、山崎か!ゆきの実家の住所を教えてくれ!」
走り書きしたゆきの住所のメモをズボンのポケットに突っ込み、上着を取る。
「土方、オレの予想じゃあゆきは母親を人質に取られて脅されている。多分おまえを殺せとか言われてるんだろう」
万事屋が珍しくオレの名前を呼び、立ち上がる。その目はギラリと強い光を放っていた。
「それで、愛する土方さんを守る為に敢えて別れて、自分一人で母親を助けに行くって訳ですかぃ」
総悟もその瞳を光らせると、腰の獲物をギュッと握った。
おそらく二人の推理は当たっている。
オレはパトカーのカギを引っ掴んで部屋を出ようとしたが、先に万事屋と総悟が障子の外れた敷居を跨いで廊下に出た。
「おい、おまえら…」
「多串くん、オレらの惚れた女に手ェだしたらどうなるか、オトシマエ付けに行ってやろうぜ」
万事屋が木刀を片手に不敵に笑う。
「この世の地獄を見せてやりまさぁ」
総悟も激しい怒りをその瞳に映した。
「ああ…!」
オレたちは駆け出した。
待ってろ!ゆき‼︎