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十四郎の恋愛白書 1

第18章 No.18


以前ゆきと入れ替わった時に、ゆきが処女だということはチェック済みだ。指一本入れただけで痛かった。

指……。

突如、もわんと鏡に映ったゆき(当時自分)の裸と手の感触がリアルに頭に思い浮かぶ。

「っ!」

思わず鼻と口を手で押さえた。

「トシさん?」
「な、なんでもねぇ」

ヤバ。鼻血出てねぇよな?

「気分でも悪いんじゃ…」

尚も口元を押さえるオレにゆきは心配気に眉を寄せた。

いや、ニヤけるのを隠してるだけだから。

「大丈夫だ」

無理矢理顔を造ってゆきの手を引き歩き出す。しかし一度ピンク色に染まった思考はなかなか元に戻らない。再び頭を占領する邪な感情。
口外できないが自分は何度もゆきをオカズにさせてらもらっている。いや、毎回、と言うべきか、お世話になっている。好きな女を抱きたいと思うのは当然だ。

しかしゆきはどうなのだろうか。
女にも性欲はある筈だ。1人でスることもあると聞く。
ゆきもオレを想ってシてたら…。


『あ、…あん、…んぁ、トシさんっ!…ああっ!』


「〜〜〜‼︎‼︎」

ノックアウトされた。
頭の中で繰り広げられたゆきの痴態が股間に直撃だ。堪らず両手で押さえてしゃがみ込む。

「トシさん⁉︎ 大丈夫ですか⁉︎」
「あ、いや、その…」

言えねー!アソコが勃ってるだけだから、なんて!

「今はちょっと、立てねぇ、かな…?」
「救急車呼びましょうか⁉︎」

ハラハラとオレを見るゆきに申し訳なさ全開だ。深く深呼吸して鬼の副長の名に懸けて熱を冷ます。
今が冬で良かった。厚手の羽織でなんとか前を隠して立ち上がった。

もう少しだ。もう少し行くとラブホテル街のそばを通る。そこでゆきに、ゆきに…、

……なんて言えばいいんだ?

ええ⁉︎ ちょ、なんて言って誘ったらいいんだよ⁉︎

思わぬところで自分の恋愛偏差値の低さが出た。セックスの偏差値は高いのだが、それ以前の問題だ。

ワタワタと考えていると再びゆきが心配気にオレを見上げた。

「トシさん?やっぱり今日は疲れているんじゃ…。もうこの辺でいいですよ?」

オレを気遣ったゆきが別れを告げるが、焦ってそれを否定する。
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