• テキストサイズ

十四郎の恋愛白書 1

第18章 No.18



オレが力強く言うと、総悟は満足そうに笑った。そして懐から紙をカサリと出すと、ゆきを囲む円に向かって走って行ったのだ。

「おーい、テメェら!来月の『ゆきさんのお迎え当番』のくじ引き、するぜぃ!」





ちょっと待て‼︎‼︎







そんなこんなでオレとゆきの付き合いは始まった。

オレが遠退いている間、深夜のゆきの迎えが、まさか隊士達のくじ引きで決められていたとは知らなかった。
目の前で繰り広げられる白熱したくじ引きに、「ゆきはオレの女だ!オレが行く!」と主張したが聞き入れて貰えず。それでもなんとか週6日あるうちの3日を獲得するに至った。



白い息を弾ませて隣で楽しそうに笑うゆき。
穏やかで幸せな時間に包まれながら、手を繋いで歩く。

ゆきと付き合って、3か月が経とうとしていたが、オレ達は未だ清い交際を続けていた。

初めの1か月は毒がまだ体内に残っている可能性もあり、医者から性行為を止められていた。
万が一を考えてキスすら出来なかった。万事屋の体調が悪いらしいと山崎から聞いたからだ。

次の1か月は、高杉一派と桂一派がなにやら色々とやらかしてくれて、忙しくてゆきにほとんど会えなかった。オレの恋路を邪魔するかのように日替わりでやってくるヤツらに、万事屋から依頼でもされてるんじゃないかと真剣に疑ったくらいだ。

そしてこの1か月。一度機会を逃せばなんだかどう誘えばいいのか分からなくなった。

なので、現在もまだオレ達はキス止まり。オレはヘタレ履歴を更新中だ。

しかし以前も述べたが、オレとて健康な二十代男性だ。ハッキリ言って性欲だってバリバリある。隣に愛しい恋人がいれば欲がムクムク湧き上がって来るのだ。

今日こそは、ヘタレキングの名を返上する!

誰に聞かせるでもないが、1人で決意表明する。
明日は日曜日。ゆきの仕事は定食屋もビルの清掃も休みだ。オレも死に物狂いで仕事を終わらせて、明日1日の非番をもぎ取ってきたのだ。
風呂に入って念入りに体も洗ってきたし、薬局でゴムも買ってきた。
今夜が勝負だ‼︎

チラリ、と隣を歩くゆきを見る。

ゆきはどう思っているのだろう。
オレと、シたい、と思っているだろうか。

/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp