第17章 No.17
「私の事をすごく求めてくれたんです。生死の境を彷徨っている時すら、私の名前をずっと呼び続けてくれていました」
「 ‼︎ 」
ゆきの言葉に息を呑む。
「私、その人を、その人の心を、ずっと傍で護ってあげたいって思ったんです」
「……‼︎ 」
言葉が出なかった。
バラバラだったパズルのピースが音を立てて繋がって行く。
『護ってあげなきゃならねーヤツなんだとよ。ずっと傍にいると約束したんだと』
万事屋の言った言葉。
『…もう大丈夫です。ずっと、私があなたを護りますから…』
うっすらと記憶に残る、オレを包み込んだ温もり…。
『でも、そいつの事がすごく大切なんだって、幸せそうに笑うんだぜ』
万事屋の吐いた、切なげな言葉…。
『そのゆきさんが好きな男ってぇのは、土方さん、あんたじゃねぇんですかぃ?』
「……っ‼︎」
…信じられねぇ。まさか…。
ゆきを見た。
オレを見つめるその黒曜石の瞳は、切なげに潤んでいて…。
「…ゆき…」
恐る恐る手を伸ばすと、ゆきはそっとオレの手を握ってくれた。
「オレ、か…?」
掠れた声で聞くと、ゆきはオレの手をギュッと握りながらコクリ、と頷いた。
瞬間、この腕にかき抱いた。
「…ゆきっ‼︎」
ゆきの存在を確かめるように、強く、強く、抱き締める。
これは夢なんだろうか…。
もしかしたらまだオレは毒に魘され、夢を見ているのかもしれない。
「ゆき…愛してる…!」
ゆきの腕が背に廻る。
「トシさん、私も、愛してます…」
ずっと求めていた、温もり…。
夢ならどうか、永遠に覚めないでくれ…。