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十四郎の恋愛白書 1

第17章 No.17


しかし近藤さんのポケットからコロンと何かが転がり落ちた。

「あっ!」
「………‼︎」

『うしろからシて…』
そんなピンクの文字と共に四つん這いになっているオレの写真付きキーホルダーだった。

「てんめぇ〜〜〜〜‼︎‼︎」

腹の痛みも忘れてベッドから飛び降りる。

「ギャーー!」
「待ちやがれぇ‼︎」
「副長!落ち着いて!」
「局長!」
「副長!傷口が開きますから!」
「いいぞーもっとやれー」
「たすけてぇ!!」
「そこに直れぇ‼︎」
「うわ、危な!」
「ちょ、こんな狭い部屋でやめて!」

病室らしからぬ騒動を起こしていると、そこに突然の爆弾発言。

「わぁ、このキーホルダー、エッチですね」

「………」
「………」
「………」

「み、見るなぁ‼︎」

刀を放り出してゆきからキーホルダを奪い取る。…が、既に遅し。

み、見られた!!ゆきに見られたぁ!!

ガクリと膝を付く。

もうダメだ…。この世の終わりだ。ゆきの中でオレは変態確定だ!
しかし打ちひしがれるオレに柔らかい声が掛けられた。

「綺麗ですね、トシさん」

……は?

ゆっくりと顔を上げると、ゆきはゆるりと微笑んでいた。その瞳にオレに対する軽蔑の色は見えない。

「私、写真集も見ましたけど…」
「み、見たのか⁉︎」
「はい。すごい話題でしたもの。それにトシさんの写真集なんだし、1冊買いました」

わざわざ買ったのか!
なんてことだ!惚れてる女に見せるモンじゃねーだろ!

再びこの世の終わりに入り込もうとしたオレに、しかしゆきの口から出たのは意外な言葉だった。

「とても格好良かったと思います」
「………へ?」
「殆どが私がトシさんの体に入ってる時の写真でしたが、最後の方はトシさんでしたよね?」
「あ、あぁ、」

ゆきはふわり、と笑った。

「タバコを吸ってる姿も、剣を振るっている姿も、すごく格好良かったですよ」
「 ‼︎ 」

格好良いって言われた…。

「中身が私の分の写真も、トシさんすごく可愛かったです」
「か、可愛い…⁉︎ 」

三十路近いおっさんが⁉︎

「いやでも、あんな写真も載ってるし…」

躊躇いがちに言うと、ゆきはキョトンと目を開く。
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