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十四郎の恋愛白書 1

第17章 No.17


「トシぃ!護ってあげれなくてごめんよぉ〜‼︎」

近藤さんがベッドに平伏して号泣する。背後では各隊の隊長達が決まり悪そうに立っていた。

「もういいから、近藤さん。泣くな」

ため息混じりにトントンと肩を叩いて慰めてやる。
確かにアレは真選組局長らしからぬ、情けないやられ具合だったけどな。

「トシぃ〜!」

ガバッと上げたその顔は涙と鼻水だらけで、局長の威厳は皆無だ。でもこの人のこんな人間臭いところに惹かれてオレも隊士達も付いていく。

「副長、すみませんでした‼︎」

近藤さんに続き隊長達は揃って頭を下げた。頭や腕に包帯を巻く者もおり、その痛々しい姿に私情に巻き込んでしまった事を申し訳なく思う。

「いや、あの白夜叉相手だったんだ。仕方ねぇ。オレの方こそ関係ねぇおまえらを巻き込んじまってすまなかったな」

素直に謝罪と感謝の意を述べたオレに隊長たちは瞠目し、「副長が謝った!」「副長が優しい!」とコソコソザワザワ騒ぎ出す。

オレだってたまには優しいんだよ。
失礼な部下達にムッとしてゆきを見上げると、クスリと笑われた。途端に気分は上昇する。
ゆきと一緒にいると穏やかな心に満たされるから不思議だ。

「ほんと、人騒がせな出来事でしたねぃ」
「テメェはもっと反省しろ」

1人イスに座り風船ガムを膨らませながら言う総悟の頭をペチンとはたく。

「だいたいテメェは何戦う前に戦線離脱してんだよ。それでも1番隊隊長か」
「男に犯されかけてた副長に言われたくありやせんや。それにあのケーキが悪いんでぃ」

総悟は唇を尖らせる。オレはいつの間にか総悟が頬張っていたホールケーキを思い出した。

「そういや、あのケーキはどっから持って来たんだ?」

万事屋が用意した風な事を言っていたが…。
しかし総悟はアッサリと答えた。

「ああ、あれは屯所前に落ちてたんでさぁ。『沖田総悟様』って書かれて」

その言葉にその場の全員がコケそうになる。

「はあ⁉︎ アホか!そんな危ねえもん拾って食うな‼︎ おまえいくつだ!」

ミツバ!どういう教育してたんだよ!

「うるせー。土方コノヤロー」

総悟はベェ、と子供のように舌を出した。その幼い仕草に余計に腹が立つ。
そこへゆきが眉を顰めて窘めた。

「総悟くん、落ちてるものを拾って食べちゃいけません。お腹が痛くなるのよ」
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