桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第11章 B
「何? ニノがいたら出来ない話し?」
ニノが着いてるとは言え、ベンチに残してきた翔さんさんのことが気になって、俺は潤の元に駆け寄るなり早口で問い詰めた。
「いや、そうじゃない。寧ろ、翔さんがいたら…ってことかな」
「翔さん…?」
きっと俺は怪訝そうな顔してたんだろうな…
潤が自販機に小銭を何枚か入れると、ボタンを押せとばかりに顎をしゃくって寄越した。
俺は遠慮することなく、カフェオレのボタンを押した。
ガラゴロッと騒々しく落ちてるきた缶を取り出し口から取ると、それをジャンパーのポケットに入れた。
後で翔さんと一緒に飲もうかな…
「で、話って何?」
翔さんに聞かれたくない、ってことはやっぱり翔さんに関する話、ってことなんだよな?
「ん? あぁ、あのさ、一週間ぐらい前、かな? 大野先輩から電話があってさ…」
大野先輩、か…
正直、あまり聞きたくない名前だな。
「へ、へえ…、で?」
俺今、絶対顔引き攣ってる…
「俺さ、前にお前に話したことあったじゃん? 二人が別れた理由」
「ああ、あれだろ?」
大野先輩が絵の勉強をするために海外留学をしたのがきっかけだ、って以前松本から聞かされた記憶がある。
「あれさ、どうも誤解? だったみたいでさ」
「えっ…?」
何それ…、別の理由があった、ってこと?