桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第11章 B
大の大人が…しかも男同士が手を繋いで歩く…
当然だけど、奇異な目で見られることも少なくはない。
最初こそ恥ずかしさもあったけど、それも今となってはもう慣れたもんで…
離せばどこへ行ってしまうか分からない翔さんの手を、離すことなんて出来やしない。
「寒くない?」
春とは言え、たまに吹き付ける風はまだ少し冷たい。
「疲れてない?」
歩きながら、何も言わずに俺に手を引かれるまま、トボトボと着いて来る翔さんに声をかける。
その度に翔さんは、小首を傾げては、ニコッと笑って首を小さく振る。
きっと俺の言ってることの、半分も翔さんは理解していないのかもしれない。
でも、言葉はなくても、そうして笑ってくれるだけで、救われる気がする。
「あ、そこじゃないですか?」
ニノが立ち止まり、少し先を指さした。
「すげぇな…」
同じように足を止めた潤が、ニノの指さす先を見て、感嘆の声を上げた。
「桜、満開だよ」
珍しく声を弾ませたニノが、俺と翔さんに向かって手招きをするから、俺の足も自然と早くなる。
「翔さん、行こ? 桜満開だってさ」
「桜…?」
「うん、そう”桜”」
「桜…」
”桜”という言葉に反応したのか、翔さんの歩く速度が急に早くなった。