桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第11章 B
「翔さん、ちょっと散歩行こうか?」
部屋の隅で膝を抱えたままの翔さんの髪を撫でてやる。
最近になって気付いた事だけど、こうしてやると、安心するのか、擽ったそうに肩を竦め、はにかんだような笑顔を見せてくれるんだ。
ちっぽけなことだけど、俺はそれがとても嬉しかった。
「散歩…?」
「うん、散歩。ほら、天気も良いしさ、たまには良くない?」
翔さんが、戸惑ったような顔で俺を見上げる。
“散歩”の意味が分かってないんだろうか?
俺は翔さんに“ちょっと待ってて”と言うと、少し薄めのジャンパーを箪笥の中から引っ張り出した。
見た目が気に入って買ったものの、サイズが合わず、一度も袖を通すこと無く仕舞ってあった物で、きっと翔さんなら、サイズも合う筈だ。
「翔さん、これ着ようか?」
ジャンパーを翔さんの肩に掛け、腕を通してやる。
思った通り、ジャンパーのサイズは、翔さんにピッタリで…
「うん、よく似合うよ」
そう言って頭を撫でてやると、翔さんはやっぱりはにかんだように笑った。
「あと、コレ…、穿こうね?」
最近になって使い始めた、所謂大人用の紙パンツ。
本当は使いたくはなかったけど、尿意の感覚が薄れてきている翔さんには、どうしても欠かせなくて…
特に外出の際には、必要不可欠になってきている。
俺は翔さんを立ち上がらせると、ズボンと下着をずり下した。