桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第11章 B
ニノの言ってることはもっともだと思った。
実際ニノが、元々弱かった腰を、翔さんの世話をすることで、悪化させてることも知っていた。
本人は、俺に気を使ってなのか、何も言わないけど、二ノの様子を見てれば、黙ってたって分かる。
俺にしたって同じことで、正直なことを言えば、バイトと翔さんの世話に追われる毎日に、身体は悲鳴を上げる寸前まで疲れてる。
身体だけじゃない… 心も…
でも、翔さんと離れたくない、って気持ちもやっぱりあって…
俺のことなんて、記憶の片隅にも残ってないのに…
「まあさ、今すぐどうこうってわけじゃなくてさ、ゆっくり考えてみれば? それに、もし施設に、ってことになったら、翔さんのご両親にだって相談しなきゃなんないだろ?」
「うん、俺にそんな権利ないからね? あくまで親族の判断に委ねなきゃいけないことだから…」
もしそうなったら、お母さんはいいとして、あのお父さんが何て言うんだろう?
あっさり首を縦に振るとは、到底思えないけど…
「なあ、それよかさ、たまには翔さん外出してやんない? ずっと部屋ん中引きこもってばっかだと、体力だって落ちるし、何たって“刺激”が足んねぇんじゃないか?」
そう言われてみれば、翔さんが外出するのは、もっぱら診察のある日だけで、それも病院とアパートの往復だけだ。
俺はそんなことも気づかないでいたのか…