桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第11章 B
「介護施設…? これって、まさか…?」
テーブルの上に広げられたのは、認知症患者専門の介護施設と、中には精神病院なんかのパンフレットもあった。
「俺もさ、色々考えたんだ。で、翔さんのことは勿論心配だけど、俺はやっぱりお前とニノのことが気になってさ…」
「ちょ、ちょっと待って…?」
いきなりのこと過ぎて、俺の思考が追いつかない…
いや、そうじゃない。
実際井ノ原先生からもそういった類の話は、なかったわけじゃない。
でもそれは、俺がもう翔さんの世話が出来ない、と判断した時のことだとしか思ってなかった。
だから、こんなにも早くそれが実現してしまうのかと思うと、どうしても戸惑わずにはいられない。
「これって、今すぐに決めなきゃダメ? もっと…」
もっと今よりも、翔さんの症状が酷くなってからじゃ…
「いや、今すぐじゃなくてもいい、とは思う。でも、なるべく早い方がいいとは…思うけど…」
潤の言ってることが分からないでもない。
でもまだ翔さんは…
「あ、あのさ…、別にさ、翔さんの世話すんのがイヤ、って言ってるわけじゃないよ? でもさ、適当に区切りつけないと、それこそ共倒れになっちゃうんじゃないかな、って…」
それまで黙って聞いていたニノが、俺達の間に割って入った。