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桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】

第2章 A


大野先輩が高校を卒業して、地方の大学に進学を決めたと耳に挟んだ時は、先輩には申し訳ないが、俺の心は歓喜の声を上げた。

これで大野先輩とあの人は会うことはないだろう…

と…

俺にもチャンスが廻ってきた、ってね?

子供じみた考えだよね…
そんな簡単にあの二人が別れる筈ないのにさ…

それでもあの人と俺の間に立ちはだかっていた“大野智”と言い高い壁は、少しだけ…ほんの少しだけだけど、低くなったのには違いなかった。

俺はあの人を遠くから見つめるのを辞めた。

諦めたわけじゃない。
寧ろその逆?

あの人に近づくために、好きでもないサッカー部に入部し、誰からも望まれもしないのに生徒会にも立候補した。

見事惨敗だったけどね?

それでも何もしないで手を拱いているよりは、ずっとマシだと思った。

その努力(?)が報われたのか、あの人の方から俺に声をかけてくれるようになった。

「お前、相葉だっけ? 下の名前何つーの?」

キラキラと光る汗を額に浮かべたあの人の顔が、視線のすぐ先にあった。

「ま、ま、ま、雅紀…です」

緊張で思わず声が裏返った。

でもそれを気にすることなく、あの人は少しだけ呆れたように笑いながら言ったんだ。

「宜しくな、雅紀」

瞬間、俺の心臓は、ぶっ壊れるんじゃないか、って勢いで脈打ち始めた。
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