桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第2章 A
俺達の距離は少しずつ縮まって行った。
いや違うな、俺の方から距離を詰めて行った、って言った方が正しいのか…
俺は放課後が待ち遠しくて仕方なかった。
サッカーは相変わらず好きになれなかったけど、あの人と一つのボールを追いかける、その時間が俺にとっては最高の幸せだった。
サボりがちだった学校にも、毎日通うようになった。
授業も真面目に…ではなかったけど、受けるようになった。
あの人に言われたから…
「学校サボったり、授業フケたりしたら即退部」
ってね…
あの人との唯一の”繋がり”とも言える部活を退部になるわけにはいかなかった。
当然だけど、担任教師からは「相葉がおかしくなった」と揶揄われたりもしたけど、あの人の傍にいるためなら…あの人に名前を呼んで貰えるなら、それでも良かった。
そして迎えた三年生の引退試合。
俺は初めてレギュラーの座を射止めた。
嬉しかった。
あの人と同じフィールドに立てる。
そう思ったら俄然練習にも身が入った。
だって決めてたから…
試合に勝ったら告白しよう、って…
結果は惨敗。
俺はあの人の涙を初めて見た。
悔しそうに唇を噛んで、肩を震わせて泣くあの人は、不謹慎かもしれないけど、とても綺麗だった。