桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第11章 B
そんなある日、潤が俺のアパートを訪ねてきた。
翔さんのことは、ニノから話を聞いていたらしく、すっかり変わってしまった翔さんを見ても、表情一つ変えることはなかった。
でも翔さんは…
「怖い…、あっちへ行け…」
部屋の隅に膝を抱えて蹲り、そう繰り返すばかりだった。
そうなってしまうと、俺がどれだけ宥めすかしても、どうにも出来なくて…
「ごめんな、せっかく来てくれたのにさ…。多分”被害妄想”とかの症状が出てるんだと思うんだけどさ…。ほんと、ごめん…」
俺はひたすら謝ることしか出来なかった。
「お前が謝る必要はないよ。俺の濃すぎる顔が悪いんだ」
潤はそう言って笑った。
「そうですよ、潤くんの顔が悪いんですよ」
潤の自虐気味のジョークに、ニノも声を上げて笑った。
勿論俺も…
「ありがとね。そう言って貰えると、助かるよ」
皆が皆、潤みたいに思ってくれるわけじゃない。
中にはそういうもんだ、って分かっていても、気を悪くする人だっているのが現実だ。
「ばぁか、礼なんていらないよ。それよりさ、今日はお前に話があって来たんだ」
そう言いながら、潤は鞄の中からファイルを取り出し、それをテーブルの上に広げた。
「何…これ…」
俺はテーブルの上に広げられたパンフレットを手に取った。