桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第5章 R
とは言え、翔さんを部屋に一人にしておくことに、どうにも不安が付き纏う。
「あのさ、頼みたいことがあんだけどさ…その…、なんつーかさ…」
「分かりましたよ。私で良ければ協力しますよ」
流石だ、ニノ。
ひょっとしてお前はエスパーなのか?
「マジ? 助かるよ」
「最初っから“アテ”にしてたくせに、今更心にも無いこと言ってくれなくてもいいですから」
呆れ口調のニノ。
ハハ、やっぱバレてたか(;^_^A
「で、私はソッチに行けばいいんですよね?」
「そうして貰えると助かる」
正直、あの状態の翔さんを連れ歩くのは、不安以外の何物でもない。
俺は体調不良を理由に仕事を早退した。
勿論、体調不良なんてのは、真っ赤なウソ。
仮病、ってヤツだ。
アパートでニノの到着を待つことにした。
バイクを走らせアパートに向かう途中、コンビニで弁当と飲み物を買い込んだ。
ニノの分も忘れずにね…。
アパートの駐輪場にバイクを停め、錆びた鉄階段を一弾飛ばしで駆け上がり、建付けの悪い玄関ドアを開けた。
「ただい…ま…」
って、何これ…?
俺の視界に飛び込んで来たのは、予想もしなかった光景。
「しょ、翔さん…?」
俺は乱暴に靴を脱ぎ捨てた。