桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第5章 R
「もう、絶対おかしいんだってば!」
仕事の合間の休憩時間を、俺は二宮との電話に費した。
二宮も松本と同じく、高校時代の同級生で、多分一番中が良かった、所謂“親友”ってやつだ。
もっとも、二宮が俺を“親友”だと思っているかどうかは、疑問だなんだけどね?
ま、何でも腹を割って話せる奴に変わりはない。
「おかしい、って言うけど、相葉さんよりおかしいのって、よっぽどだよ?」
そうなんだよ、俺より…
「って、そんな冗談言ってらんないんだってば…」
そう、こうしてる間にも翔さんは…
それを考えたら、落ち落ち仕事も手につかない。
「まあさ、大体の話は分かったけどさ、どうすんの?」
「そこなんだよなぁ…。どうしたらいいと思う?」
住んでるとこも分かんないし、第一あの状態の翔さんを一人にしておくのは、どうにも不安で仕方がない。
「実家は? 何か分かんじゃないの?」
そうか、その手があったか!
「それにさ、所持品とか無かったの? 財布とか、携帯とか?」
一応それらしき物は探してみたけど、手がかりになるような物は…
「あった! 一つだけあるわ…」
びしょ塗れになった、ボロボロのスーツの胸ポケットに入っていた、大野先輩からの葉書。
そこには確かに住所が書いてあった。