桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第13章 AIBA
病院へと搬送された翔さんは、幸いにも大して大きな怪我もなく、打撲程度の物で済んだ。
当然だけど、翔さんのご両親も、病院からの連絡を受けて病院へと駆けつけた。
「申し訳ありませんでした。俺が目を離したせいで翔さんにこんな怪我させてしまって…。ごめんなさい」
俺は血相を変えて病室に駆け込んできたご両親を見るなり、二人に向かって頭を深々と下げた。
責められる…
もしかしたら殴られるかもしれない…
そう思っていた。
だって俺はどれだけ責められても仕方がないことを、翔さんに対してしてしまったんだから…
それなのに…
「頭を上げなさい。君が謝る必要はない。聞けば、翔が自分で階段から足を滑らせたそうじゃないか。君のせいではないよ」
翔さんのご両親は、俺を責めることを一切せず、それどころか
「そうよ、頭を上げて頂戴? あなたは良くやってくれたわ。だから自分を責めないで?」
ポロポロと涙を流す俺に向かって、ハンカチを差し出してくれた。
「でも…」
俺が目を離さなければこんなことにはならなかった筈。
いや、違うな…
俺はどこかで油断してたんだ。
寝たきりに近い状態の翔さんが、自分の足で外へ出ることなんて、出来っこないって…
俺が傍にいない…、それが翔さんにどれだけ不安を与えてるかなんて
俺をどれだけ必要としてくれてるかなんて、
俺は考えてもなかったんだ。