第14章 朋友
「岡本さんって言うより、他の事務所の先輩かな。」
「ん?」
「その人、すごいモテるの…」
「私が憧れてた人もその人が好きみたい。」
「別の先輩もその人が好きかも。」
「多分勘違いじゃないけど、岡本さんもその人が……」
言い終える前に視界が滲む。
「言いたくないなら言わなくてもいいけど。」
「それだけの人を惹きつけられるって、すごく魅力がある人なのかな?」
「新人の私が気軽に話し掛けられる人じゃないよ。」
「大人だし。綺麗だし。独特の世界観がその人を包んでる気がするの。」
「どうしたら、あの人みたいに好きな人に好きって言われるようになれるんだろう。」
無意識に視線が落ちる。
「あのさ…色んな人に好意を寄せられるって事は素晴らしい事だと思うけど。」
「その人は、本当に好きな人に好意を寄せられてるのかな?」
「もし…違うとしたら…すごく辛いよね。」
「だって。」
「どんなに『好き』って言われても、その気持ちには応えられない。一方通行な訳でしょ?」
「それって、すごく辛い。」
「やっぱり別に想ってる人がいたりして?」
手に持ったグラスを私の前に差し出し、飲み終えたグラスを下げる。
「まぁ、これは私の勝手な想像だけどね。」