第14章 朋友
「日菜乃?」
聞き慣れた声に顔を上げる。
「この前は、ありがとう。」
「………来ちゃった…ごめんね。」
眉を寄せて微笑めば、目尻から涙が溢れる。
「どうしたの?大丈夫?……じゃないよね。」
「そんなに強いの飲んじゃって…」
「心穏やかじゃないのね。」
カウンター越しに話し掛けてくれる優しい声に涙は止めどなく溢れる。
コクコクっと何度も頷けば、労るように私の腕をそっと撫でる。
「落ち着くまで、ちょっとお預け。こっちは、もう終わり。」
そう言って、クラッシュアイスとライムが残るグラスを下げ仕事に戻っていく。
少しすれば差し出されるグラス。
「『ベリー・ベリー・ミルク』 これは私のおごり。」
「………ありがとう。」
グラスのふちを指でなぞって、ピンク色に染まるグラスに視線を落とした。