第14章 朋友
下を向けば頬を伝う涙。
止めどなく流れる涙は、カレを思うものなのか…
それとも、情けない自分に嫌気がさした涙?
目の前にスッと差し出されたカクテル。
クラッシュアイスにライム。
透明な液体が、程よく光を反射して輝く。
一口含めば、冷えたお酒がのどを通り胃に到達するのを感じる。
強いカクテルが気持ちを少し落ち着かせてくれた。
視線を上げれば、見透かすような視線に瞳を逸らす。
「話したくないなら聞かないけど。」
「一人で居たいなら、ここには来ないよね?」
「………。」
「ユキなら、もう直ぐ出勤するよ?」
「それが目的かな?」
コクッと小さく頷けば、少し離れた客の元へと移動する。
「ありがとう…」
呟けば片手を上げて、優しい微笑みを向けてくれる。
見透かされちゃってるのかな……?