第8章 享楽*
自分でも驚く。
こんなに本気で抱くなんて…何時(いつ)ぶりだよ。
これじゃあ、ガキと変わんねー。
それにしても…
後処理を済ませて、床にへたり込む日菜乃の顔を覗き込む。
窓から洩れる光が乱れた日菜乃のカラダを妖艶に照らす。
「気持ち良すぎた?」
クスリと笑ってみても、視線が合わない。
ふと視線を下に移す。
汗と体液で濡れたグレイのワンピースは、大部分色が変わっている。
さすがにこれじゃあ帰せねーよな…
「背中浮かせて。」
ジャケットを着せ、床に投げ捨てた大きめのストールを広げ腰に巻く。
「適当に巻いたから、後で自分で直せよ。」
「それから。タクシーで帰れ。」
「タクシー代ならジャケットに入ってる。」
しゃがみ込んで、触れるようなキスをする。
「またシような?」
「インランな日菜乃ちゃん。」
クルリと向きを変えて、部屋を出た。