第77章 待望
約束の日が近づくにつれ複雑な気持ちに苛まれる。
行けば信彦さんを裏切る。
行かなければ達央さんを裏切る。
どうして花火を見たいなんて言っちゃったんだろう。
変えられない過去の言動に頭を抱える。
……。
私は。
私の行動、言動が誰かを傷つけるって事を自覚しないといけないのに。
何度も何度も心に決めて。
何度も何度も破って。
いつも自分の事しか考えてない。
うぅん。もう無意識に自分が楽な方、相手に悪く見られない方を選んでる。
結局は、いつも自分が可愛いだけ。
誰かを思って選択してる訳でもなくて。
ただ。一人になりたくないから相手の心に、思いに甘えてる…
弱味につけ込んでるだけ。
本当に卑怯で。卑劣で。最低。
これ以上、傷が広がらないように…
最後に貴方を傷付ける私を許して欲しいなんて言わないから。
恨まれたって構わない。
最後のワガママを。