第8章 享楽*
「何?欲求不満?」
「触れられるだけで感じちゃう?」
クスリと笑って、私を嗜める。
「何なんですか?」
負けじと睨み付けると、達央さんは私の顎をクイッと持ち上げ唇が触れないギリギリの距離で話し掛ける。
「随分攻撃的だこと。」
「純真無垢な『水澤日菜乃』ちゃんの裏の顔は、やっぱり存在してるのかな?」
「だから。何なんですか?」
「あー。怖い怖い。噛み付かれそうだよ。」
「さて。噛み付かれる前に」
言い終えると同時に唇を塞がれた。
「んっ!」
舌をねじ込み、口内を舐める。
上顎を舌先で、擽られると背中がゾクゾクした。
「感じてる?」
クスクス笑って、再度私の口内を犯す舌は私の熱をどんどん上げる。
「…んっ」
「やめて下さいっ」
胸を押しても、ガッチリと抱き留められたカラダは一向に動かない。
「今さら純粋ぶっても遅いけど?」
その瞬間にプツンと何かがはじけた。