• テキストサイズ

逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第8章 享楽*



「おい。水澤。」

明らかに不機嫌な声。

このままやり過ごす事なんて出来ない…

諦めてキッと睨みながら、振り返る。

「達央さん…」

「何だよ?俺の顔みて、この部屋に入っただろう?」

「そんなことないですよ。」

「俺が前から来るの分かってて、ここに来ただろ?」

「達央さんだなんて、知りませんでしたよ!」

「ふーん?」

ニヤニヤしながら、何かを探ろうとする視線。

「お前さ。今、すっごい不細工な顔してるよ。」

「普段はニッコニコしてるくせに、スイッチ切れるとヒドいな?」

「………。」

『スイッチ』

前から気付いてた。

達央さんは、私の演技に気付いてる。

だから、必要以上に関わらないようにしてたのに。

「お前さ。甘いんだよね。」

「詰めが甘い。」

「そんなんじゃ、すぐバレるよ。」

わざと顔を覗き込んでニッコリ笑う。

そして、頬に手を触れる。

頬に感じる少し硬い指の感触。

反射的にその手を払った。
/ 549ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp