第73章 夢幻
着替えを済ませ洗った髪をタオルで纏める。
化粧水に美容液に乳液。
一通りスキンケアを済ませ、ドライヤーを探す。
いつもあるはずの場所に無い物を探すのは、なかなか上手く行かない。
「あれ?」
「無いな…」
「んー。おかしいな。」
「昨日は、ここに戻したと思ったのに。」
どんなに探しても見つからない。
洗面所のドアを少し開けて、信彦さんのいるリビングに声を掛ける。
「信彦さん?ドライヤー知ってます?」
「信彦さーん?」
何度か名前を呼ぶと今度は私を呼ぶ声。
「日菜乃ちゃ-ん。こっち来て。」