第72章 仮寓
『オレに時間くれない?』
素っ気ない画面に口角が緩む。
『18時以降なら大丈夫ですよ。』
『21時に終わるからその後迎えに行く。』
『分かりました。どこなら拾いやすいですか?』
『スタジオが○○だから』
『分かりました。では、いつもの場所で。』
『了解。』
あれから達央さんの元を訪ねる事が多くなった。
もちろん、カラダを重ねたりなんてしない。
ただ一緒にいるだけ。
そばに寄り添って時間を過ごす。
達央さんは、台本のチェックをしたり。
作詞をしたり。
たまに見せてくれて。
意見なんて求めてこないけど、私が勝手に感想を言って怒られて。
そんな普通の時間。
この時間が心地よかったりするの。
その時間が私の生活の一部になりつつある。