第71章 伏目*
日菜乃のカラダの強ばりを感じながら、ボクは抱き締め何度も何度も奥を目指す。
これ以上先が無い先を目指すように何度も突き立てる。
「日菜乃…」
「んっ…くっ…んっ…」
「くっ…っ…はぁ…っ」
「ん…ぁ…っ…はぁ…っ…あっ…ん…」
開放感がボクのカラダを支配する。
その余韻につつまれながら、今度はゆっくり何度か抽出を繰り返す。
一滴残らずキミのナカに注ぎ込みたい。
そして、この幸福感を逃さないようにギュッと抱き締める。
「はぁ…はぁ…」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
触れるような口付けを交わし、額と額を合わせれば汗ばみ上気する肌に頬が緩む。
「日菜乃が、上だと漏れちゃうね。」
そう言って、小さなカラダを抱えながらグルリと体勢を変え上から覆いかぶさる。
「漏れないようにくっついちゃおうか。」
小さくなりつつあるモノを入れたまま、繋がる部分をくっつける。
「デキたら大事(おおごと)ですよ。」
困ったように眉を寄せてボクを見上げる。
「信彦さん…事務所出されちゃいます。」
例え話でもボクを優先しないでよ。
「ボクは、日菜乃ちゃんを選ぶよ。」
これは本音。
本当にそう思ってるんだ。
「周りが許してくれないですよ。」
「私は沢山の人から彼方を奪う事なんて出来ないです。」
諦めたように小さく溜息をつく。
「こうして、一緒にいられるだけで幸せです。」
寂しそうに笑う表情に胸が締め付けられる。
そっとボクのカラダを指先で撫でる仕草。
瞳に映るボクの姿。
そう。
あの日から。
キミへの疑いが輪郭を見せ始めたあの日。
キミが見慣れない靴を履いて帰ってきたあの日。
ボクにとっては忘れられない日。
結果的には戻ってくれたけれど。
あの日から、心はどこかに置き去りな気がするんだ。
そう。
ボクは、あの日からずっと思ってる事があるんだ。
「ボクはいつも願ってるよ。」
「情けないけど神様にキッカケを下さいって。」
これは独占欲なんかじゃない。
キミを愛しているんだ。
愛しすぎて、どうしたらいいか分からない。
1つ言えることは。
キミがあの人を求めていても離してやれないって事。
ただ…それだけ。