第71章 伏目*
何をしても、どこか集中しきれない。
ここの所そんな日々が続く。
プロだから仕事には影響させてないつもりだけど…
「何かあった?」
その声に顔を上げる。
「あ…すみません。何でも無いですよ!」
笑ってみても、どこか引きつる笑顔。
「はい。お肉焼けたよ?」
「すみません…ありがとうございます。」
「もーらいっ!」
「食べたいならあげるよ。」
「やっぱり変だ。」
良平さんに代永さん。
隣に座る江口くんの視線がボクに突き刺さる。
「いやいや。何でも無いですよ-。」
「そうか?」
「絶対変!」
「まぁ、ノブも子供じゃないんだから。」
「無理して聞くような事はしないけど。」
「俺達は、いつでもノブの味方だし。」
「話したくなったら言うんだよ?」
代永さんの宥めるような声に唇を噛む。
「ありがとうございます…もう少し頑張ってみます。」
そう言えば、みんな微笑んでくれる。
ボクは一人じゃないんだ。
悩んだって何も変わらない。
ボクは、信じてるし。
そう……信じてるから。