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逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第64章 体貌


ベッドルームを覗く。

暗い寝室の奥に気配を感じる。

「信彦さん…?起きてますか?」

恐る恐る声を掛けると聞こえる声。

「日菜乃ちゃん?お帰り。」

「ボクもさっき帰ってきたところ。」

羽毛布団越が動く体を音として私に知らせてくれる。

「一緒に寝よ?」

「えと…お風呂入りたいので…」

あるわけも無いあの人の残り香。

もし信彦さんに気付かれたらと思うと怖くて怖くて。

その場から立ち去りたくて言い訳を紡ぐ。

「えー…早くくっつきたいんだけど。ガマンできない。」

間接照明のスイッチを入れたようで、信彦さんの顔がようやく見られた。

見つめた先の信彦さんは、私をじっと見つめて逸らさない。      

「ねぇ?早くおいで?」

両手を広げて待ってる姿。

逆に行かない方が不自然。

残り香を気のせいだと振り払い、呼び寄せられるまま一歩一歩歩みを進める。


「お帰り。」

「ただいま。」

腕を引き寄せられ抱き締められた。

耳元で大きく息を吸う音が聞こえると一瞬身構えてしまう。

「ん?なんで身構えるの?」

「えと…汗かいちゃったので…」

「大丈夫だよ。」

「ボクも汗かいてるし。」

「ちょっと暑いのかな?」

耳たぶを甘噛みされて舌先で弄られる。

「っ!」

「?随分良い反応…」

「何かあった?」

「そっ…そんなこと無いです。」

「そう?……まぁ、反応良いのは大歓迎だけど。」

そう言って、もう一度大きく息を吸う。

「………ボクでいっぱいにしてあげるね。」

いつもより低いトーン。

背筋が震えるのは、背徳感?

それとも期待?
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