第61章 御伽
満足そうに眠る岡本さんの腕の中から、起こさないようにそっと抜け出る。
体を動かせば、違和感に戸惑いが隠せないのも事実。
日にち上は、危険度は低いけれど…
このままの行為が続けば、近いうちに予想通りの結果になる。
そんな行為に走らせる気持ちにさせたのは、きっと私。
『離す気はないよ。』
頭に反響するコトバ。
私は愛されてるんだろうか…
それとも、ただの独占欲?
あなた元に戻ると決めた理由は何だったんだろう。
色んな気持ちに蓋をして、ここに戻ってきた。
あなたの支えになりたいと思う気持ちに嘘はない。
すれ違いが多くて。
声に出す事すら遠慮して。
負担になることを恐れてた。
これからは、もっと時間を大切にしようと思うの。
前々から打診はあった。
新しい一歩を踏み出そう。
少しは変われるかもしれないから。
汗が滲む岡本さんの横顔。
タオルでふき取り、こめかみに唇を落とした。