第60章 還御
小さく開いた扉から窺えば、規則正しく上下する布団。
はだけた布団からのぞく太股。
「本当に寝相悪いんだから…」
クスッと笑って布団をかけ直す。
そっとお腹をさすって呟く…
「デキちゃえばいいのに……」
「そうすれば………」
「………こんな方法しか繋ぎ止められない。」
頬に指を滑らせ、額と額をつける。
「キミの事が……好きなんだ。」
瞼を閉じても耳はキミのたてる寝息に集中してしまう。
触れる額はキミの体温をボクに伝える。
ボクの心はキミでいっぱいなんだ。
「あ…玄関…片付けないと。」
キミがケガしたら大変だもんね。
そっとベッドから離れ、暗い部屋の中歩みを進めた。